KADODE
【営業責任者コラム】「思っていた現状と、全然違いました」——AI導入の前に起きていること
こんにちは。KADODEで営業責任者をしている内藤です。
最初のコラムで、ご支援の中でいちばん難しいのは技術ではなく、経営層と現場の間にあるギャップだ、と書きました。ここはいつかちゃんと書きたいと思っていた話です。今回はその回にさせてください。
「思っていた現状と、全然違いました」
この言葉をよく口にするのは、現場の方ではなく、経営層の方です。
ご支援の初期に、私たちは現場の方の話を聞く時間をいただきます。その内容を整理して経営層の方にお見せしたとき、かなりの確率でこの言葉が出てきます。自社の業務のはずなのに、把握していた姿と実際とがずれていた。責められる話ではなくて、規模が大きくなるほど、組織が階層になるほど、自然に起きてしまうことなのだと思います。
このズレに気づかないままAI導入を進めても、どこかで引っかかってしまいます。ご支援の中でよく見かける典型的なパターンをいくつか紹介します。
資料上の業務と、実際の業務が違う
一番よくあるのがこのケースです。マニュアルや業務フロー上は「データを確認し、報告書を作って提出する」というシンプルな手順になっていても、実際の現場ではその間に細かな作業がたくさん入っています。転記ミスの修正、フォーマットの調整、過去データの参照、人による表記の揺れを整える作業などです。
こうした「隙間の作業」は、わざわざ手順書に書くほどでもないと思われがちで、資料には残りません。ですが、現場の手間や負担が一番かかっているのはまさにこの部分です。資料だけをベースにAI化を進めようとすると、肝心な負担が置き去りになってしまいます。
現場は、困っていると言わない
次に多いのがこれです。経営層の方は「現場から特に困っているという声は上がっていない」とおっしゃる。でも現場に伺うと、悩みも戸惑いもたくさん出てきます。
声が届かない背景にはいろいろな理由があります。「以前提案しても変わらなかったから」「日々の業務に追われて言葉にする暇がない」、あるいは長年のやり方に慣れすぎて「大変な状態が普通になってしまっている」場合もあります。困っていないのではなく、それが問題だと気づけていない状態です。(少し前までの自分もそうでした。)
「不満の声がない=問題がない」とは限りません。ここを見落としたまま進めると、現場の感覚から離れた仕組みになってしまいます。
ツールが先に決まっている
もうひとつ、ご相談の段階でときどき出会うのがこれです。使うツールが先に決まっていて、業務のほうをツールに合わせようとしているケース。
話題のツールを選びたくなるお気持ちはよく分かります。実績のあるツールなら安心感もありますし、導入の手ごたえも得やすいからです。ただ、手段が先行してしまうと、現場側は「余計な手間が増えた」と感じてしまいます。本来は、どこに負担がかかっているかを把握した上で、それに合うツールを選ぶのが順序です。
ずれたまま進めると、どうなるか
認識がズレたまま導入を進めると、最終的に「ツールを入れたけれど使われない」という状況になりがちです。そして「現場が使ってくれない」と言われてしまうことも少なくありません。
ですが、これは現場の不注意ではなく、実際の業務に馴染んでいないから使われないだけです。道具の性能以前に、実態をちゃんと捉えられていたかどうか。ご相談をお受けする中で、いつもここに行き着きます。
私たちが最初にやっていること
そのため、ご支援の最初には必ず現場の状況を丁寧に伺うようにしています。その際、「何に困っていますか?」と直接尋ねるのではなく、「この作業の次は具体的に何をしていますか?」と順を追って確認していきます。そうすることで、マニュアルには書かれていない「隠れた作業」が見えてきます。
洗い出した業務の実態を経営層と現場の双方で共有すると、話が一気にスムーズになります。意見の食い違いに見えていたものが、単なる認識のズレだったと分かるケースは非常に多いです。具体的な進め方を決めるのは、実態が揃ってからで十分間に合います。

最後に
AIの導入を検討する際、どうしても技術やツールの情報収集に目が向きがちです。ですが、まずは現場で実際にどんな作業が行われているのかを確認する時間を作ってみてください。表面的な手順だけでなく、細かい手作業まで把握できているかどうかで、その後の定着率は大きく変わります。
自社だけで整理するのが難しい場合は、ぜひお気軽にお声がけください。現場のヒアリングから一緒にお手伝いいたします。









