設備メンテナンス業
<四半期点検の分析・報告工数を最大7割削減へ>空調・計装設備メンテナンスにおける遠隔点検業務の自動化━━AIエージェントにより、計測データの解析から異常検知・報告書ドラフト生成までを一気通貫で自動化する仕組みを構築
オフィスビル等の空調設備を対象に、遠隔監視システムを活用した制御動作点検を四半期ごとに実施している設備メンテナンス企業。計測データ自体は自動で蓄積される一方、「グラフを見る・原因を調べる・報告書を書く」という分析・報告の工程は技術者の目視と手作業に依存しており、定期的に繰り返されることが大きな負担となっていました。
KADODEは、グラフ画像ではなく計測データ(数値)を直接解析するAIエージェントにより、異常検知から原因候補の提示、点検報告書ドラフトの自動生成までを一気通貫で行う仕組みを設計。実データを用いた動作デモの構築と、PoCから全社標準化までの段階導入ロードマップを提示し、点検〜報告書作成工数の最大7割削減(想定)を見込む提案・検証事例をご紹介します。
目次
背景と課題
月間数千件に及ぶ転記四半期ごとに繰り返される8工程の点検フロー。「見る・調べる・書く」に集中する人手負荷
ビルの空調設備を対象とした遠隔点検(制御動作点検)は、事前準備から提出処理まで複数工程で構成され、定期的に反復されます。遠隔監視により計測データは揃っているものの、その後の分析・判断・報告書作成は技術者の目視と手作業に大きく依存していました。
主な課題
- グラフ確認の物量:分単位の計測データを、グラフ画像として全系統分を目視でチェック。1建物あたり1万点を超えるデータ量に対し、確認作業は人の集中力に頼っていた。
- 複数資料を跨ぐ原因特定の属人化:異常の兆候を見つけても、計装制御図・盤図・動作説明書・過去の点検報告書を突き合わせた原因の特定は、熟練技術者の経験と勘に依存していた。
- 繰り返しの報告書作成と手作業のファイル授受:所見作成〜書式生成〜保管〜チェックという一連の報告書作成を四半期ごとに反復。複数システム間のデータのダウンロード・アップロードも、その都度人手で行っていた。
支援内容・開発アプローチ
「グラフ画像ではなく計測データ」を解析するアシスト型AIエージェントと、実データによるデモ検証
KADODEは、単にAIツールを当てはめるのではなく、点検フロー全体をヒアリングした上で、負荷が集中する「点検(分析)〜報告書作成」の工程をAIエージェントの適用対象として特定。技術的な懸念に対する現実的な打ち手を織り込んだ設計を行いました。
実施した具体的なアプローチ
- 業務フローの可視化とボトルネックの特定:現行の点検フローを工程別に分解し、「グラフ確認」「原因特定」「報告書作成」に人手と時間が集中している構造を可視化しました。
- 「グラフ画像ではなく数値データ」を解析する方式の設計:解像度の粗いグラフ画像の読み取りではなく、監視システムから取得した計測データ(数値)を直接解析する方式を採用。判定はデータで行い、グラフは人の確認用と位置づけることで、読み取り精度への懸念を回避しました。
- 「候補と根拠」を提示するアシスト型の設計:原因特定はAIが関連図面・動作説明書・過去報告書を参照して「原因候補+根拠+参照資料」をセットで提示し、最終判断は技術者が担うアシスト型として設計。オンサイト従事者との検討会も業務フローに残し、AIは事前の論点整理とシート下書きを担当する役割分担としました。
- 実データ形式を用いた動作デモの開発:計測データ(4系統・約1万行)を読み込み、冷水弁の張り付き、制御のハンチング、センサ異常といった異常パターンの自動検知から、原因候補の提示、点検報告書ドラフト・検討会シート・現場対応依頼書の自動生成までを一連で実行するデモ環境を構築しました。
- ・段階導入ロードマップの策定:1建物・1系統に絞ったPoC(1〜2ヵ月)→報告書作成までの一気通貫自動化(3〜4ヵ月)→全建物への横展開・標準化(5ヵ月〜)という3段階の導入計画を提示し、リスクを抑えて定着させるシナリオを設計しました。




期待される導入効果(想定)
点検〜報告書作成の工数を最大7割削減見込み。技術者は「判断・確定」に専念する体制へ
本事例は提案・デモ検証段階のものであり、以下はロードマップに基づく想定効果です。PoC(実証実験)にて実データでの効果測定を行った上で、本格導入へ進む計画です。
期待される効果(定量・想定)
- データ確認の自動化:1建物あたり1万点超のデータ確認を、AIエージェントが自動解析。目視によるグラフ確認の物量負荷を解消します。
- 点検〜報告書作成工数の最大7割削減(想定):負荷が集中する工程(点検〜報告書作成)の反復作業をAIが代替し、人は確認・確定に専念する前提での試算です。※PoCにて実測予定
- 横展開時のスケーラビリティ:年複数回の反復業務が標準化されるため、対象建物・系統を拡大しても工数が比例して増えない体制を見込みます。
期待される価値(定性)
- 技術者のコア業務へのシフト:「グラフの目視確認と書類の反復作成」から技術者が解放され、異常への対応判断や現場との調整といった、経験が活きる付加価値の高い業務へ時間を振り向けられるようになります。
- 暗黙知の形式知化とミス削減:原因候補が「根拠+参照資料」とセットで記録されるため、熟練技術者の経験と勘に依存していた判断プロセスが組織のナレッジとして蓄積され、確認漏れや所見のばらつきも抑制されます。
- 段階導入によるリスクの最小化:アシスト型(人が最終判断)でのスモールスタートにより、現場の信頼を確保しながら適用範囲を拡大。検討会など人の対話で得られる情報も引き続き業務に活かします。









